REWORK

新しい働き方 / 営み方を実践するメディア

「Un.C.-Under Construction-ができるまで」

REWORKは、約1年前にオフィスの在り方を紹介し、実践するメディアとしてはじまった。そのきっかけのひとつともなるのがこの場所「Un.C.- Under Construciton-」。REWORK編集部機能を担う㈱オープン・エーが入居し、運営するシェアオフィスである。ここは新しい働き方を試すいわば実験場。この連載コラムでは、Un.Cができるまでの経緯、ならびにこの1年、運営をする中で発見した、これからのオフィス環境の可能性をレポートしていく。

440㎡のワンルーム空間

浅草橋にある元ブライダル用品のショールーム兼倉庫として使われていたビル。
そのビルはまるごと1棟リノベーションされ、TheParkRex日本橋馬喰町という新しいオフィスビルへと姿を変えた。その最上階にUn.C.はある。

リノベーション前の空間は、およそ440㎡の広々としたワンルーム空間で、タイルカーペットの床に蛍光灯が並ぶ、いわゆる標準的な仕様であった。このタイプの空間をリノベーションするときに僕らがすることは至ってシンプルだ。それは、天井と床を剥がすこと。これだけで印象はガラッと変わる。

そのベース空間にどういった機能を落とし込んでいくか。まずは、自分たちがここで働く姿を想像しながら議論を重ね、計画を進めていった。

BEFORE:タイルカーペットの床と蛍光灯が並ぶ天井
床と天井が剥がされ、スケルトン状態となった空間

4mの天井高をどう活かすか

この空間の一番の特徴は、天井が高いこと。元は天井が貼られていたため、それほど強い印象は無かったものの、約4mもの高さがある。実際に天井を解体してみると、まったく異なる空間に思えるほど開放的で気持ちのよい空間だった。そして解体して分かったことが、一面銀色の断熱材で覆われていること。最上階なので断熱が施されていることは想定はしていたが、その材質がなんともかっこよく、光を反射するので空間も明るくしてくれた。これは思わぬ収穫で、当然のようにこの断熱材をそのまま活かすことにした。

シェアオフィスのプランニング

シェアオフィスというと、個室型やフリーアドレスなどさまざまな形式があるが、Un.C.では仕切りのない固定席タイプでの運用を前提としている。仕切りを設けない理由としては、広々としたフロアと高い天井を活かすべく全体をできるだけ分断しない一つの空間としての構成を目指したかったから。そして、固定席にしたのは、クリエイティブ系企業を対象としたため、しっかりとした作業環境を用意してあげる必要があったからだ。

約40人分のデスクをオープンなかたちで配置し、それに対して共用機能となる会議室、倉庫、キッチンなどをそれぞれの関係性を考慮しながら決めていった。

計画段階では箱のような会議室を空間の真ん中に配置していく案なども考えたが、最終的には当初の目的に立ち返り、必要な個室は壁側に寄せ、できるだけ広い大空間を確保するプランとなった。計画を進めるとついさまざまなことを盛り込んで複雑化してしまいがちだが、結局はシンプルに考えたほうが強いプランになることが多い。

各機能の配置やアイディアを検討した最初のスケッチ
最終的な配置と空間イメージ

ベース空間の完成とOAフロアからの脱却

レイアウトの計画を踏まえて工事が終わると、そこはガランとした倉庫のようなベース空間となった。必要居室は壁側に埋め込まれ、ポツンとキッチンが存在している状態だ。このキッチン、家具などが何もない状態ではわかりづらいが、コミュニケーションが自然に、そして活発に行われる空間の仕掛けとして、象徴的な場所となるような狙いがあった。果たしてそれがうまく作用するか、このときはまだ半信半疑だった。

床・壁・天井が仕上がった空間。大きな倉庫のような空間
アイランド状にレイアウトされたキッチン

そして目立たないながらも、実は重要な課題だったのが電源コンセントの計画。こうした大きな空間のオフィスは大概がOAフロアだ。要は床下にスペースを設けることで電源を取り回す方式。しかし、この空間でそれをやってしまうのはせっかくの高い天井高を縮めてしまうし、この倉庫っぽいラフな雰囲気も損なってしまう。何よりコストも掛かるため、天井から全て給電を行う計画とした。写真を見ると分かる通り、天井からたくさんのコードが下がっている。照明用のレールとは別に、常時通電された電源用のレールから各デスクに降ろすようにした。

元々OAフロアでは、電源の他にLANや電話線などの配線処理を目的として広まったものだ。しかし無線化が当たり前となった今では、LANケーブルや電話線は必要がない。つまり電源ケーブルのみのためにOAフロアを設けるのは少し過剰なのかもしれない。そういう思いもあり、今回のような配線計画がオフィス構築のひとつの選択肢となっても良いと強く感じた。

<次回へ続く>

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