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未来をつくる「実験区」から、 100年後の当たり前が生まれる。

再開発の進む渋谷駅新南口から、徒歩2分のところにある3階建てのビル。ここは、パナソニック、カフェ・カンパニー、ロフトワークの3社の協働で生まれた実験区「100BANCH」。「100年先の世界を豊かにするプロジェクトを100個創出する」という壮大なコンセプトのもと、さまざまな取り組みが同時進行中。よりよい未来をつくるための価値を、いったいどのように生み出していくのか、お話をうかがった。

ワークショップやイベントなどにも使えるコラボレーションスペース「LOFT」。

100年先の世界を豊かにするチームを支援する「GARAGE Program」。

100BANCHは、パナソニックの創業100周年事業の一環としてスタートしたプロジェクト。パナソニックのほか、「Fab Cafe」などを手がけるクリエイティブエージェンシーのロフトワーク、コミュニティの場としてのカフェを提案するカフェ・カンパニーの3社協働で運営している。

 

100BANCHの中核となっているのが「GARAGE Program」。「100年先の世界を豊かにする新しいコト」を生み出したいと考えるプロジェクトチームを毎月募集するプログラムだ。プロジェクトが採択されると活動スペースが無償で提供されるほか、各分野のトップランナーのメンタリングを受けることもできる。

 

ちなみに、審査員兼メンターは、メディアアーティストの落合陽一さんや同施設を設計した建築家の長坂常さん、渋谷区長の長谷部健さんなど21名が務めている。

 

もともとは電子部材メーカーの倉庫だったというこのビル。1階はカフェ・カンパニーが企画・運営する新たな食の体験を探求するカフェスペース「KITCHEN」。2階はプロジェクトメンバーのためのワークスペース「GARAGE」、3階はコラボレーションスペース「LOFT」という構成。

100BANCHのオーガナイザー、松井創さん(株式会社ロフトワーク)と則武里恵さん(パナソニック株式会社)。

フラットな空間で、若い世代と未来を考え、コトを生み出す。

取材に答えてくれたのは、パナソニックの則武里恵さんとロフトワークの松井創さん。2人は現在、オーガナイザーとして100BANCHに常駐し、さまざまなプロジェクトのマネジメントを手がけている。

 

「100周年事業がスタートしたとき、社内のプロジェクトメンバーで何をするのか検討したんです。それで、若い世代の人たちと一緒に未来を考えられて、しかもそこがカフェのようなフラットな場で、いろんなコトを生み出せたらいいねという話になって」(則武さん)

 

則武さんは広報業務に長く携わり、2016年2月から同プロジェクトを担当。その後、社内だけでなく社外の人と一緒につくる場にしたいとの想いが高まり、ロフトワークに声をかけた。一方、相談を受けたロフトワークの松井さんは、企業の新製品・新サービスの企画プロデュースや空間デザインなどを担当していた。

 

「パナソニックさんと一緒にコンセプトを練って、物件を探そうというタイミングで、カフェ・カンパニーさんからも『何か新しいことをやりたいんだけど、一緒にどうですか?』という話をもらったんです。ちょうどコンセプトに『カフェ』というキーワードがあったので、3社協働でやっていきましょう、と」(松井さん)

2階の「GARAGE」。他のプロジェクトチームとも交流が行われ、メンバー同士とても仲が良いそう
入り口近くの壁には、現在進行中の「GARAGE Program」が掲示されている。
照明と電源コードがセットになったユニット式の器具は、パナソニック創業時のヒット商品「二股ソケット」。
魚と植物を同じ環境で育てる農法「アクアポニックス」を研究するチームの実験装置 1階のダイニング「LAND Seafood」では、新鮮な魚介を使った地中海料理が楽しめる。
1階の「LAND Seafood」。新鮮な魚介を使用した地中海料理が楽しめる

門戸は広く、ひとりでも賛成すれば採択する。

100BANCHの重要なコンセプトのひとつは「つくる人を、つくる」こと。常時約30プロジェクトが同時進行する「GARAGE」は、まさにそれを体現したスペース。部室や研究室を思わせるガチャガチャ感があり、エネルギーを感じさせてくれる。

 

魚と植物を同じ環境で育てる農法を研究するチームや、一家に一台のロボット普及を目指す高校生チーム、ふんどしをファッションウェアにして世界展開を目指すチームなどなど。

35歳以下のリーダーを中心としたチームを支援していて、これまで採択されたプロジェクトもユニークでバラエティ豊か。

 

「このチームをサポートしたいと思うメンターがひとりでもいれば、プロジェクトが採択されるというのがルール。常識にとらわれない新しい価値観を持った若い人たちと出会いたかったし、『100年後の未来』がキーワードなので、こういう方向性だというのを定義したくなかったんです」(則武さん)

 

プロジェクトチームに与えられる期間は3ヶ月。限られた期間で自分たちが定めたアウトプットを生み出さなければならないため、取り組む姿勢はとても真剣。

 

「メンバーたちの成長スピードには驚かされますし、3ヶ月単位でプロジェクトがぐるぐる回って、いろんなことが起きているので、本当に濃い時間を過ごしていますね。これまで自分の中で仕事の領域を線引きしていたところもあったんですが、彼らと接することで完全に取っ払われて(笑)。視野が広がったなと感じています」(松井さん)

外観も内装も、何かが生まれそうな「実験室」の雰囲気。

若者も大人も、「働く」ことの面白さを感じられる場をつくりたい。

“コトづくり”が重要視される中で、どういう人がコトをつくれて、どういうプロセスでコトが起こるのか。パナソニックにはそうした知見が足りない、と則武さん。世の中だけではなく社内に刺激をもたらすことも、この場所に期待していることのひとつ。

 

「パナソニックが、新しいコトを生み出せる柔軟性やスピードを持った組織に生まれ変わってほしいという想いはありますね。すごいスピードで成長していく若い世代を目の当たりにすることで刺激をもらって、自分たちのマインドも変わっていくはず」

 

これまでは100BANCHという場のエネルギーを高めることに注力してきたが、今後は社内を巻き込んだ取り組みも考えていきたいと話してくれた。

 

「あとは、若い人たちに働くのって面白いんだ、って感じてもらえる場にしていきたいんです。就職したら終わりと考える若者も多いと思いますが、そうではなくて、働くことは社会に何かポジティブなインパクトを与えることができるチャンス。そんなふうに感じてもらえる場になったらうれしいですね」

 

若い世代は働くことの楽しさを知り、大人たちは彼らから刺激をもらう。これからここでどんな化学反応が生まれていくのか注目したい。

space information

100BANCH(ヒャクバンチ)

住所:東京都渋谷区渋谷3-27-1

営業時間:

2F Garage 10:00〜18:00(見学可能時間)

1F LAND Seafood 11:00-23:00(土日含む)

http://100banch.com

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